和歌山のスブタ

(photo & text Izumi)

Blyxa(簀蓋)

アクアリウムが好きな人はブリクサと聞くと、あれか!と思うのではないでしょうか。ブリクサの仲間が日本にもいます。かつては水田雑草として普通にいたそうですが、いまではほとんど見られなくなりました。絶滅危惧Ⅱ類に分類されていますが、私の体感だともっと希少なのでは?という感じです。この 10 年で自生地が次々消滅しています。

トチカガミ科(Hydrocharitaceae)スブタ属(Blyxa)は、大きく分けてスブタとヤナギスブタに分かれます。スブタはロゼット状に広がり、ヤナギスブタは有茎種で横に広がります。種の分類は諸説ありますが、下記 4 種が代表種になります。

  • スブタ(Blyxa echinosperma
  • マルミスブタ(Blyxa aubertii
  • ヤナギスブタ(Blyxa japonica
  • セトヤナギスブタ(Blyxa alternifolia

和歌山県には、良い水田や湿地が残っています。7月末の暑い日に観察に行ってきました。

スブタ

中央の細い葉っぱの植物がスブタで、その周辺に生えているの丸い葉っぱの植物がミズオオバコです。ミズオオバコも急速に数を減らしている希少な植物です。スブタの葉は幅が 1 cm あり、ヤナギスブタと比べると太くなります。スブタとマルミスブタの見分けるポイントは種子の形状だけしかなく、この写真のスブタがどっちの種か、見た目では区別つきません。

※2024年10月に再び見に行ったところ、種子を確認できて、スブタと判明しました。

近くでみるとこんな感じ。真夏で渇水しているので、葉っぱが水面から少し出ています。水につかると形が立体的になり、より綺麗です。個人的な印象では、スブタは割と日陰に生えています。下の写真のやや右側に花が写っています。花弁は 3 枚です。スブタの花弁は完全には開きません。ヤナギスブタは花弁が完全に開きます。


ヤナギスブタ

スブタと比べると葉が細く、数 mm 程度です。スブタと異なり有茎種なので、1 つの株が横に広がりを持っています。

花は花弁が 3 枚。完全に花が開くのが特徴です。

スブタより日当たりの良いところにも生えている印象で、直射日光が当たるところでは葉が赤っぽくなります。


並んで生えていることも

これはおそらく、スブタとヤナギスブタが並んで生えいているところ。大きい葉のがスブタで、下の方に生えているのがヤナギスブタと思われます。


湿地帯の生き物

貴重なスブタが生える湿地帯は、希少な生き物が他にも生息していました。

ハッチョウトンボ。わずか直径 2 cm の小さなトンボです。 1 円玉くらいのサイズしかありません。軽いので、小さな草にもとまることができます。

ヒメミクリ。逃げ恥の主人公「森山みくり」の名前は植物の「みくり」からきているそうですね。


撮影機材

和歌山県のスブタは今年も元気に生えていました。このような素晴らしい湿地が長く残るといいですね。来年もまた見に来ます。

撮影機材:Sony α7 IV, SIGMA 24-70mm F2.8
現像ソフト:Adobe Lightroom
観察時期:2024年7月

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