(photo & text Izumi)
アンバー山国立公園
前回の記事ではアンバー山国立公園への行き方と、公園の歩き方を紹介しました。今回は出会えたカメレオンたちを紹介していきます!
マダガスカルといえば乾燥した地域を思い浮かべますが、アンバー山は水の豊富な森林が広がっています。アンバー山に固有の生き物も多く、世界中の生き物ファンが訪れています。
キガシラカメレオン(Calumma amber)
学名にも “amber” とあるようにアンバー山周辺に固有のカメレオンです。約 35 cm になる比較的大型の種で、体の模様は緑色に縦じまがほんのり入る個体が多いようです。今回見た個体は、全体的に赤みが強く、白い縦縞もはっきりしていました。樹上 2 m くらいの場所を歩いていたので望遠レンズで撮影しています。鮮やかな色なので簡単に見つけられると思いきや、葉の色に紛れるとなかなか見つけられません。
このカメレオンの存在は以前から知られていたようですが、新種記載されたのは2006 年です。この時、Calumma 属から 6 種類同時に記載されました。
もう少し望遠で撮るとこんな感じ。口の上に最大 0.7 mm になる突起が見えます。頭の上の冠突起が、象の耳のようでかわいいです。
アンブルカメレオン(Calumma ambreense)
こちらも学名に地名が入っているように、アンバー山周辺にいるカメレオンです。2007年の記載です。体に対して頭が大きく、茶色っぽい個体が多いイメージです。調べても、このカメレオンに関する詳しい文献は見つけられませんでした。まだまだ謎が多いカメレオンなのかもしれません。
カメレオンは興奮すると体の色を変えたり、体を大きくしたりします。このカメレオンは私が触ろうとすると黒くなり、尻尾を枝に巻きつけました。完全に怒らせてしまったようです。申し訳ないので写真だけ撮ってそっとしておきました。
ツブヒメカメレオン(Brookesia tuberculata)
アンバー山国立公園で最も楽しみにしていたカメレオンです。Brookesia の仲間は日本ではヒメカメレオンと呼ばれています。ツブヒメカメレオンは、ヒメカメレオンの中でも最も小さな部類です。
手に乗せるとこんな感じで、動くフィギュア見たいでとってもかわいいです。
元々は Brookesisa minima のシノニム扱いでしたが1999年に別種にされています。論文はこちら。この論文でアンバー山に生息する種は Brookesia tuberculata になりました。
多くのカメレオンが樹上性(木の上で暮らすこと)ですが、ヒメカメレオンの仲間は林床を好む種が多いです。このツブヒメカメレオンも落ち葉の中で暮らしています。木の幹を地面から 30 cm くらい登ることもあるそうですが、ごく稀です。ツブヒメカメレオンを探すときは、そっと落ち葉をかきわけてみましょう。コツがわかると簡単に見つかります。
白バックで撮ってみました。同じ場所から出てきた 3 匹ですが色はバラバラです。小さくても形はしっかりカメレオン。手もカメレオンらしい二又の形をしています。
アオハナカメレオン(Calumma linotum)
C. linotum は C. boettgeri のシノニムと考えられてきましたが、2015年の論文で独立した種になりました。体が細長く鼻のような突起が長いカメレオンです。興奮すると体の色が黒くなります。
落ち着いてくると、木の枝のような薄茶色に戻りました。よく見ると鼻の先は青色をしています。この色は、深い森林の中で配偶者を探すのに役立っていると考えられています。
アンバー山に行くには?
一度にたくさんの種のカメレオンを見るなら、アンバー山は訪れるべき国立公園です。行き方は前回の記事にも書きましたが、首都アンタナナリボからディエゴ・スアレスまで飛行機に乗り、車で行きます。カメレオンを見たいなら、生き物に詳しいガイドさんに案内をお願いするのが良いでしょう。私はARICS TOURS さんに手配をお願いしました。おかげで世界最小のカメレオンを見ることができました。ぜひみなさんも訪れてみてください!
撮影機材:Sony α7 IV, FE 200-600mm F5.6-6.3, SIGMA 24-70mm F2.8
現像ソフト:Adobe Lightroom
旅の手配:ARICS TOURS 黒川さん
観察時期:2024年1月
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